くらの蔵

わらべうた考3

例えば、息子が口ずさんでいた次のわらべうたを、是非声に出してみて欲しい。

べんけいは ごじょうのはしをわたるとき うんとこどっこいしょ と いってわたる

どうだろうか。「べんけいは ごじょうのはしをわたるとき」までは、七五調でそのまま言えばリズミカルだが、次の「うんとこどっこいしょ」の納まりが悪くなって、残りの「と いってわたる」が余る感じになってしまう。
「うんとこどっこいしょ」だけは、2倍の速さで言うのだ。つまり、ゆっくり手拍子をしてそれに合わせて歌ってみると、(○が手拍子)

べんけいは |ごじょうのはしを|わたるとき |
○    ○   ○          ○    ○    ○  

うんとこどっこいしょ と|いってわたる 
○                   ○    ○     ○

とたんに、「うんとこどっこいしょ」が生き生きしてくる。さらに、

べんけいX|ごじょうのはしを|わたるとX
○    ○   ○          ○    ○    ○   

うんとこどっこいしょXと|いってわたる
○                   ○    ○     ○

赤の字の音を、極端に高く言ってみよう。(子供だととてもかわいい)すると、次の青のXで息を吸ってしまわないだろうか。そのことによって、間が強調される。

この歌には、短い中にも                      

  1. スピードの急激な変化(うんとこどっこいしょ) 
  2. 高さの極端な変化(赤字の音)
  3. 空間の強調(青X)

という楽しい要素が入っていて、だからこそ、意味がわからなくても子供を惹きつけるのだろう。というより、意味は関係ない。音の長さや高さ、リズム、間の面白さをいっぺんに感じられる素敵なわらべうたである。

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わらべうた考2

わらべうたは、そもそも母から子へ、友達から友達へと、家庭の中であるいは遊びを通して歌い継がれていったものだが、今や絶滅寸前である。自然発生するのは難しいので、積極的に広めようとしている人たちもいる。
私は、わらべうたを習ったことはないが、下の子の保育園では、先生たちが講師を招いて、定期的に講習を受けている。その先生に聞いたところによると、わらべうたを歌う速さは、心臓の拍に合わせるのがいちばんいいそうだ。
ためしに、自分の脈搏に合わせて歌おうとすると、思っていたよりもずっとゆっくりになる。子供だともう少し速いのだろう。

また、これも保育園の先生が話していたことだが、たとえば「トントントントン ひげじいさん」のような現代の遊び歌は元気に盛り上がるけれども、昔ながらのわらべうたを歌うときは、子供たちがとても落ち着いているというのだ。
私には、この話がとても興味深かった。きっと、何か科学的根拠があるに違いないが、それを解明するのは学者さんにお任せすることにしよう。しかしながら、日本語が持っている「間」を自然と生かしているのは、昔ながらのわらべうたのような気がする。

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わらべうた考1

わらべうたには、特に関心があったわけではない。「昔のもの」「古くさい」というイメージが、私の中にもあったように思う。下の子の保育園では、わらべうたに力を入れているのを知った時も、ずいぶん地味なことしてるなあ、ぐらいにしか思わなかった。上の子が、別の保育園に行っていた時は、先生がピアノを弾き、それに合わせて子供たちが元気よく歌う、という光景をよく目にしていたので、あまりにも静かなわらべうたが、物足りなく思えたのだ。

その考えが変わったのは、ある休日のことだった。保育園からもらったプリントを見て、私もわらべうたを覚えてみようかと下の子と口ずさんでいると、上の子が「私も」とまねをする。ところが、いくら言葉をまねしても、ノリが全く違うのだ。平たんというか、間がないというか。下の子は、先生と一緒に言葉のノリも一緒に覚えているので、日本語のリズムが良い。そして、それだけではなく、普段、歌に合わせて、太鼓や手拍子でリズムをとるのも、ずれそうでずれず、微妙なタイミングであっているのだ。
この違いを知って、小さいうちにわらべうたを覚えるのは、実はとても大事なことなのではないか、と思うようになった。

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コンサートを作る愉しみ3

ココハピcafeスタでは、絵本がテーマだったので、絵本に音楽をつけようという今までは考えたことのなかったアイディアが出てきた。
『はらぺこあおむし』は楽譜も出ているしどうかなと私が言ったら、ピアノの中島さんは、児童館などでもよくやっているし、もっと知られていない絵本の方がいいのでは、という意見だった。私も、せっかくの機会だから、オリジナルな方が良いと、その意見に納得。

昔、本屋で立ち読みした、『ネコとクラリネットふき』を思い出して、早速図書館で借りて読んでみると、なかなか良い。音楽もつけやすそう。
とはいっても、本番まではあまり時間がなく、その上出演する3人の日程も合わないので、練習日が1日しか取れない。曲はなるべく新曲を避け、今までにアンサンブル・プチ・フラワーでやった曲をベースにし、練習日までにト書き入りの台本を作って、時間を効率よく使うことにした。

「始まり始まり~」の音楽は、私も私の子供たちも大好きなチェコアニメ『ぼくらと遊ぼう』のテーマを、クラリネット吹きが我を忘れて練習する場面ではピエルネの『カンツォネッタ』を、という具合に、内容となるべく合うように選曲していった。
他に『クラリネット・ポルカ』、サティの『ジュ・トゥ・ヴ』、ガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』の一部などで、必ずしも子供よりの選曲ではなかったが、お話がメインのせいか子供たちもじっと耳を傾けて聞いていた。『ぼくらと遊ぼう』のテーマは、大人も子供も好きみたいだった。
「絵本と音楽」は思いのほか面白く、自分なりに手応えを感じることのできるテーマであった。

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コンサートを作る愉しみ2

土曜日の朝のNHK-FMで、ゴンチチの「世界の快適音楽セレクション」という番組をやっている。昔は夜の放送だったが、最近になって朝の時間帯に引っ越して来たように思う。結構な長寿番組だが、私はこの番組が大好き。
ゴンチチの、関西弁のゆるいトークも力が抜けてて良いが、その日のお題が決まっており、そのお題に合わせて、世界のいろいろなジャンルの曲をかけてくれるのだ。
ちなみに、今日は「木の葉と木の実」の音楽だった。私が聴き始めたときは木の実ナナの「おまえさん」がちょうど終わったところだった。

この番組が、私のプログラム作りに、大いに刺激を与えてくれる。ジャンルを超えて選曲すると、とりとめがなくなりがちだが、ひとつのテーマでくくると、不思議とまとまってくるものだ。そして、聞く人の世代の敷居もとりはらうことができるのではないか?とチラと思ったりする。
1でも書いたが、子どもには童謡やアニメソング、お年寄りには演歌や懐メロ、というステレオタイプを突破できるヒントが何かあるような気がする。

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コンサートを作る愉しみ1

今、私が関わっているコンサートは、ほとんどが自主企画のものである。企画した人が他にいても具体的な内容は自分で考えている。だから、チラシ作りから、宣伝、予約の受け付けから会計にいたるまで、全部自分でやらなければならない。その合間に練習もしなくてはいけない。
とても大変だが、その中で、もっとも楽しい仕事の一つは、プログラム作りである。季節にあった歌を選んだり、コンサートを聴く子供の年齢に応じて、曲を考えたり。ただ漠然と考えるのではなく、ひとつテーマを設けると、アイディアがまとまりやすくなって動き出す。たとえば秋の歌だったら、テーマを「虫」にしよう、とか、「月」はどうかな、とか。

子供向けのコンサートだからといって、子供の曲ばかりというのはちょっとつまらない。むしろ子供は先入観なしに聞くので、おもしろければ『ミッキーマウスマーチ』だろうが『水戸黄門』だろうが関係ないのである。でも、やはり知っている曲がかかると、大人も子供もうれしいので、「皆がよく知っていて、くちずさめる曲」と「初めて聞くけどいい曲」と、「いつかどこかで聞いたことある曲」をバランスよく取り入れるのがいいと思っている。
「初めて聞くけどいい曲」は、その会場にいるひとすべてに伝わるわけではないと思うが、自分のいいと思うものを伝えたい、という思いもある。

こうやってあれこれ考えても、反応が悪い時もある。その時は終わってから何がよくなかったかと原因を明らかにする。反対に手応えを感じる時もあり、それは素直に嬉しい。

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